DCMコラム『キャッシュレス新時代の潮流と戦略』 第2回【BNPL(後払い決済)】|分割払いは“クレカ”から解放される ─ BNPLの光と影

DCMコラム『キャッシュレス新時代の潮流と戦略』 第2回【BNPL(後払い決済)】|分割払いは“クレカ”から解放される ─ BNPLの光と影

カードを持たずに、分割払いを活用する若年層──BNPLは信用のカタチを変えるのか?

1.「後払い」のイメージが変わる:BNPLとは何か

BNPL(Buy Now, Pay Later)は、「今すぐ購入し、あとで支払う」という新しい決済手段です。最大の特徴は、クレジットカードのような厳格な審査や高金利を伴わず、リアルタイムに与信判断が行われる点にあります。

この手軽さとスピード感は、金融機関に対する不信や抵抗感を持つZ世代・ミレニアル世代の支持を集めています。特に「リボ払い」への忌避感を背景に、透明性の高い分割支払いとしてBNPLを選ぶ傾向が顕著です。

さらに、ECサイトの購入フローに自然に組み込まれていることで、購入意欲を損なわずに“後払い”へと導くスムーズなUX(ユーザー体験)も、普及の大きな推進力となっています。

2.代表サービスとビジネスモデル:Klarna・Affirm・Paidyの違い

BNPL市場には、さまざまな事業者が参入しており、それぞれ異なる思想と戦略を展開しています。

  • Klarna(スウェーデン):後払い・分割払いの選択肢を用意し、主に加盟店からの手数料で収益を得るモデル。欧州を中心にEC連携型で成長。
  • Affirm(アメリカ):家電など高額商品の長期分割に対応し、明瞭な金利表示と信用透明性が支持されている。クレカローンの代替手段として浸透。
  • Paidy(日本):電話番号とメールアドレスのみで利用可能なアカウントレス設計が特徴。AmazonやAppleとの連携で存在感を拡大中。

いずれのサービスも単なる「支払い手段」ではなく、購買支援ツールとしての位置づけを強めています。また、ユーザーの利用履歴データを与信情報として活用する「新しい信用スコア」の構築も視野に入れています。

3.規制とリスク:普及の壁になるのは「信用」の定義

利便性が注目される一方で、BNPLの普及には新たなリスクも伴います。代表的なのが、過剰与信・支払遅延の問題です。これにより、規制当局の関心も高まり、欧米ではBNPL事業者への法的整備が進行。日本でも、割賦販売法や資金移動業法の枠組みで議論が始まっています。

「信用とは何か?」「与信を誰が判断すべきか?」といった根源的な問いが、BNPLの将来を大きく左右するでしょう。これは単なる金融の話ではなく、デジタル社会における“信用の再設計”を意味しています。

DCMからのご案内

DCMでは、決済を単なる“支払い手段”としてではなく、経済圏を動かす仕組みとして捉え、設計・運用の両面から支援しています。

BNPLをはじめ、ペイメントを軸としたビジネス展開をご検討の企業・自治体の皆さま──
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次回は、「モバイルウォレット」をテーマに、PayPayやAlipayといった“国民的アプリ”がいかにして生活に溶け込み、決済のUXを変えてきたのかを深掘りします。

2025年4月16日